2018/12/27
よねざわ
2018/10/23 更新
中国地方にも関西地方にも近接した愛媛県ですが、その方言がかわいいと話題になっています。愛媛の方言の種類や、日常でよく使う方言などご紹介していきますので、愛媛に行く・愛媛出身の人と話す機会がある人は、ぜひ参考にしてみてください!
みなさん、愛媛県に行ったことはありますか。
四国地方の北西側に位置し、北側には瀬戸内海、南西部には宇和海があります。また西日本最高峰の石鎚山や四国カルスト高原があることもあり、県土の71%を森林で占める、海・山両面の自然に恵まれている県です。
県民性としてはあるサイトによると、温厚でのんびりな方が多いそう。
また有名な道後温泉には3000年の歴史があり兵庫県の有馬温泉、和歌山県の白浜温泉と並ぶ日本三古湯として知られています。
そのような歴史のある温泉街には様々な文学が生まれており、「日本書記」「源氏物語」等の多くの文献に登場します。特に有名なのは夏目漱石の「坊ちゃん」でしょう。
また、道後温泉は「千と千尋の神隠し」の舞台のモデルにもなっていると言われています。
温泉だけでなく、ミシュラン観光版の日本編で2つ星に選定された今治城や、伊藤博文や山本五十六が参拝したとされる大山祇神社など様々な観光スポットがあることもあり、年々、観光客数も増えてきている注目の観光県です。
そんな愛媛県に行く際には愛媛弁を少しでも知っておくと、現地の方とも交流できる一味違った旅になるのではないでしょうか。
実は愛媛弁は九州地方と深く関わっています。
そもそもの由来が九州地方の方言(肥筑方言、豊日方言、薩隅方言)だと言われており、そこから四国地方や中国地方へ渡っていく中で、九州色が薄まっていったと考えられています。
また四国地方というカテゴリーにおいて南四国と北四国と分けて比較してみると、少し言い回しが違っています。それぞれの特徴としては南四国は強い言い回しが多く、北四国は優しい言い回しが多いというのが挙げれます。
同じ四国と言えど、地域ごとに方言は変わってくるのです。
また愛媛県は大きく分けて東予、中予、南予の3つの地域に分けられます。
地域ごとにそれぞれの文化が形成されており、特に東予には愛媛弁の中でも今治弁が中予には伊予弁(松山弁)があります。
今治弁の言葉には「かん」「けん」「ぞん」など濁音が多く、威勢がよく聞こえてしまうため、他の県の人が聞くと、喧嘩をしているように聞こえてしまいます。男性が使うと頼りがいのある人に見られそうですね。
今治弁は言葉のアクセントが関西弁に似ており、東京近郊出身の人と話すと、関西弁に間違えられることも多いようです。
愛媛弁の中でも伊予弁は全国かわいい方言ランキングで8位になるほどかわいい方言として有名です。
特に語尾が「~わい」「~んよ」とつくものが多く、全体的にやわらかい印象を与えます。
全国的に昔の人々が使っていた言葉は減ってきてはいますが、伊予弁には今でも使われている意味を間違えてしまうような難しい言葉が残っています。例えば、「机をかく」。初めて聞くと、机を掻く?と理解できませんが、実は「机を運ぶ」という意味なのです。まったく想像つかないですよね。
よく関西弁に間違われる愛媛弁ですがもちろん関西弁ではありません。
それでは関西弁とどのような点で違いがあるのか、例文とともに、標準語、愛媛弁、関西弁で比べてみましょう。
標準語で日常よく使う、理由を示す「~から」。これを伊予弁と関西弁で言うとどうなるでしょうか。
・標準語 まだ4時だから早いな。
・愛媛弁 まだ4時やけん、早いな。
・関西弁 まだ4時やから早いな。
このように少しではありますが、違いはあります。
ただ、伊予弁は目上の人には「やけん」ではなく、関西弁と同じ「やから」を使うので、注意が必要です。
こちらも日常的によく使う「いけない」。これを愛媛弁と関西弁でいうとどうなるでしょうか。
・標準語 それをしてはいけない。
・愛媛弁 それをしてはいかん。
・関西弁 それをしたらあかん。
こちらにも少し違いがあります。
様々な地域で使われている「~けん」という方言ですが、愛媛県では標準語での「~から」という意味で使い、語尾に付けることで「~です」という意味を持ちます。
また伊予弁、今治弁どちらでも使うようです。
日常生活の中で「~けん」を使うのは、語尾に付けて強調したい時や、文の途中で使うことにより、「~から」と理由を言いたいときに使います。
標準語で言うよりも、やわらかい印象を与えるので、何か理由を述べた上で譲歩してほしいときに使うと相手への印象もよくなるかと思います。
もちろん目上の方には使わないように。
なんとなくアニメなどでよく聞いたことのある「わい」。標準語では「~ね」「~よ」などの意味を持っています。
「わい」という方言は「私」という意味の主語として使うのではなく、語尾に使うことで、強調したいときに使います。
若干怒っているニュアンスにもなりますので、使うときには少し注意が必要です。
「わい」の例文
例文 | 標準語 |
覚えとこわい。 | 覚えておくね。 |
帰ってこうわい。 | 帰ります。 |
「かまん」とは標準語で「問題ない」という意味を持っています。
よくテレビとかで耳にする「かまわん」という意味とほぼ同等と言えます。
「かまん」には2つの使い方があります。
1つ目は何か相談ごとや頼みごとがあるときに、頼む側が「頼んでもいい?」の意味で使う「かまん?」があります。
また2つ目には相談ごとや頼みごと側を頼まれた側が「いいよ!問題ないよ!」の意味で使う「かまん!」があります。
「かまん」の例文
例文 | 標準語 |
座らしてもろてもかまんやろか? | ここに座らせてもらってもいいですか? |
かまんかまん。 | いいよいいよ。 |
「~らい」は愛媛でも今治弁(松山弁)でよく使われている言葉で、様々な語尾に付けることができ、標準語で言う「~よ」のようなそれぞれの言葉を強調する意味で使われます。
「~らい」はとても万能な方言なので、様々な場面で使われます。
特に使われているのは「しよらい」と「いよらい」の2つです。
それぞれ意味は違いますが、基本的な構成は同じで、標準語で言う「している」をもとにしたものが「しよらい」で、標準語の「言う」をもとにしたものが、「いよらい」です。
それぞれの意味としては「しよらい」が標準語の「しているよ」で、「いよらい」は標準語の「言っているよ」という意味で使われています。
「~らい」の例文
<しよらい>
例文 | 標準語 |
今頃来てしよらい。 | 今頃来てしているよ。 |
昼すぎてもまだしよらい。 | 昼すぎてもまだしているよ。 |
<いよらい>
例文 | 標準語 |
いつまでもまだ言よらい。 | いつまでもまだ言っているよ。 |
「はよこいや!」いよらい。 | 「早く来てよ!」って言っているよ。 |
「いなげ」とは標準語で言うと「奇妙な」という意味の形容詞です。実は広島弁でも使われている言葉です。
基本的には「奇妙な」という意味の形容詞として、単語の前に使われます。
愛媛県の人が関東圏に来たときに、「いなげや」というスーパーをみると、クスッと笑ってしまうようです。
「いなげ」の例文
例文 | 標準語 |
いなげばにおいがしよる。 | 変なにおいがする。 |
いなげな人じゃなー。 | 変な人だね。 |
「ぎり」は標準語でいう「ばかり、だけ」という意味を持っています。
「ぎり」は標準語での「ばかり、だけ」という意味で、日常生活の中では、誰かに注意するときや、意見を言いたいときに、少し強めのトーンで伝えるときに使います。
「ぎり」の例文
例文 | 標準語 |
むつこいもんぎり食いよって。 | 脂っこいものばかり食べて。 |
うそぎり言うけん、嫌われるんよ。 | 嘘ばっかり言うから嫌われるんだよ。 |
「なんいよん」とは標準語で言う「何言ってるの」という意味で、特に松山弁で使われている言葉です。
いかつい方言ランキング2位の広島弁にも、「なんいよん」という言葉があるので、女性が使うときにはご注意を。
「なんいよん」は標準語で「何を言っているの」問う意味を持っており、日常的には、喧嘩しているときの返しや、相手の意味をくみ取れない時に使います。
「なんいよん」の例文
例文 | 標準語 |
なんいよん。もういっぺんゆいとうみ。 | 何言ってる、もう一回いってみなさい。 |
もうなんいよんよ、恥ずかしかろがな。 | もう何言ってるの、恥ずかしいじゃない。 |
「たのまい」は標準語で「たのみます、お願いします」の意味を持っています。
「たのまい」は標準語で「たのみます、お願いします」の意味を持っているため、何かを人に頼むときに使います。
ただしあまり親しくない人に対して使うと失礼になってしまうこともあるのでご注意を。
「たのまい」の例文
例文 | 標準語 |
明日お店いくけん、よろしくたのまい。 | 明日お店にいくので、よろしく頼みます。 |
無理を承知でなんとかたのまい。 | 無理を承知でなんとかたのみます。 |
「はがいい、はがいたらしい」は標準語の「憎たらしい、腹立たしいという意味を持っています。
またこの言葉は、大分県などでも使われており、そこでも同じ意味で使われています。
「はがいい、はがいたらしい」は主に、喧嘩の際に使われることが多いです。
いかつい方言としても知られる松山弁と一緒に使われていると、普段愛媛県の言葉を使わない人からすると少し怖いかもしれません。
「はがいい、はがいたらしい」の例文
例文 | 標準語 |
いっつもはがいたらしいことぎりゆうんよ。 | いつもびくたらしいことばかり言うんよ。 |
あの話思い出しただけではがいたらしなる。 | あの話は思い出しただけで腹が立つ。 |
「ほうなん」は標準語で言う「そうなんだ」という意味を持っています。
関西弁での「そうなん」とアクセントも同じで意味も同じです。
標準語で言う「そうなんだ」という肯定の意味や、「そうなの?」という確認を取る意味合いで使えるため、日常の中でもとてもよく使える言葉です。
また、関西弁の「そうなん」とも同じような使い方ができるため、初心者でも取り入れやすい方言の1つです。
「ほうなん」の例文
例文 | 標準語 |
ほうなんやね。知らなんだわい。 | そうなんだね。知らなかったよ。 |
やっぱしほうなんかな? | やっぱりそうなのかな? |
伊予弁での会話の中でよく使われている「ほーよ」は標準語で「そうよ」という肯定の意味で使われます。
「ほーよほーよ」と重ねて使われることが多く、相槌のような役割も担っています。
標準語で「そうそう」と言われるよりもかわいらしく暖かい印象を与えることができます。
「ほーよ」の例文
例文 | 標準語 |
ほーよ、ほーよ。 | そうそう、そうなの |
こちらは疑問文の語尾に付ける方言で、「何しよん?」「何見よん?」て甘えられたらおっとりした雰囲気でとてもかわいいです。
「~よん」の例文
例文 | 標準語 |
何しよん? | 何してるの? |
「待ってるね」の意味の「まちよる、まっとる」ですが強調の意味をもつ「~けん」と組み合わせて「まっとるけん!」と使ってみるととてもかわいらしいですね。
「まちよる、まっとる」例文
例文 | 標準語 |
まちよるけん! | 待ってるね! |
標準語で「みて」という意味の方言で、日常でよく使われています。
言葉の雰囲気がとても丸くてかわいい感じがしますね。デートで使われるとキュンときてしまいます。
「みとん」例文
例文 | 標準語 |
これみとん! | これ見て! |
日常でよく使う方言①でも紹介した「やけん」ですが、かわいい方言で有名な伊予弁の方言です。
語尾に付けるだけで使えるので取り入れやすいのと、方言である感じがとても特別に聞こえるため、1位になりました。
「やけん」の例文
例文 | 標準語 |
好きやけん、私と付き合って | 好きだから付き合って |
まだまだ紹介しきれていない愛媛弁を紹介していきたいと思います。
<日常で使うことば>
方言 | 訳 | 例文 |
のうなる | 無くなる 亡くなる | もうのうなったん? |
はらふとい | お腹いっぱい | ようけ食べてはらふといわい |
よかろ | いいでしょう | それならよかろ |
なかれん | 泣いたらダメ | なかれんゆうたやろ |
どうならい | 大変だよ | 部屋散らかしてどうならい |
しもといて | 片づけといて | それ、しもといて |
ちったぁ | 少しは | ちったぁこりたやろ |
ようとんのか | 酔っているの? | まだようとんのか? |
おし | しなさい | 今おし |
<意味の推測が難しい言葉>
びんだれ | だらしない | いっつもびんだれやなあ |
つばえる | 騒ぐ | いっつもつばえるんよ |
いいやいこ | 口喧嘩 | いいやいこすな |
つむ | 切る | 爪をつむけん |
あいなか | 中間 | あいなかを狙う |
いにしな | 帰りに | いにしなにお店に寄った |
いの | 帰ろう | もうまあいのわい |
さいさい | 何度も | さいさいおしないよろがな |
とわん | 届かない | とわんけん取ってや |
好きな人には誰でもかわいく思いを伝えたいけれど、どうしてもうまく伝えられない・・・。
そんな時にはかわいい方言がたくさんある愛媛弁を使ってみてはいかがですか。きっと想いも伝わるはず。
シーン別にご紹介していきます。
先輩が部活しているとことてもかっこよくて・・・好きやけん、付き合ってください。
あんたの事すきやけん、これからもずっと一緒におって。
好きじゃけん・・・どうしたらいいかな?
愛媛弁、いかがでしたでしょうか。
愛媛弁と言えど、伊予弁と今治弁、松山弁とはそれぞれ違うものがありました。同じ県でもこんなに言葉に違いが出るとは面白いですね。
観光に行く際にもこのようなその土地独特の言葉や文化に着目してみると面白くなるかもしれません。
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