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    「お伺いさせていただく」って適切な敬語?正しい使い方紹介します!

    「お伺いさせていただく」という表現を使ったことはありますか?言葉の意味は分かりますか?これは正しい使い方なのか?他に正しい表現はあるのか?について説明します!上司にメールで敬語を使う場面などの言葉遣いで悩む時にヒントになる情報が入っています!

    「お伺いさせていただきます」は正しい敬語なのか?

    「お伺いさせていただきます」「お伺いさせていただく」はビジネスシーンでも日常的に使ってしまう便利な言葉です。また「伺う」を使用することで正しい敬語を使っている錯覚にも陥りやすく、ついつい使いがちです。
    目上の方にメールや電話で伝えるときも「お伺いさせて頂きます」などと使っていませんか?

    今回はこの「お伺いさせていただきます」「お伺いさせていただく」が正しい敬語なのかを紐解いて紹介していきます。

    「お伺いさせていただきます」の意味

    「お伺いさせていただきます」と使うことが多いのは
    「そちらに行きたい」という意味で「お伺いさせていただきます」と表現します。
    また、「お伺いさせていただきます」と言われたときは
    「こちらに来たい」という意味だと理解しますよね。

    「お伺いさせていただきます」は自分も相手も意味としては通じる言葉なのです。

    「伺う」にはどんな意味が込められている?

    「お伺いさせていただきます」の

    「伺う」とは“聞く”“尋ねる”“訪問する”の謙譲語です。

    謙譲語とは自分がへりくだることで相手をたてるときに使用する敬語のことです。

    この謙譲語こそが「お伺いさせていただきます」が正しい敬語なのかを理解するうえで重要になってくるのです。

    正しい敬語とは?

    敬語に種類があることはご存知かと思います。

    言葉自体を丁寧に表現する“丁寧語”

    相手を立てるように表現する“謙譲語”

    相手を高めて表現する“尊敬語”

    の3種類に分けられます。

    これらを上手に使いこなせてこそ、“正しい敬語”となるのです。

     

    「お伺いさせていただきます」にはどの敬語が使われているのでしょうか?

     

     

    「お伺いさせていただきます」とは
    つまり、砕けた言い方で話す場合の

    聞きたいことがあるんだけど・・・
    ○○についてどう思う?
    そこに行こうと思ってる

    というようなことを正しい敬語を使ってビジネスで使う言葉として
    目上の方に対する言葉として
    どう表現するのが適切なのかをご紹介します。

    「お伺いさせていただきます」は二重敬語なのか?

    敬語と聞くと何だか畏まった感じがしてしまいますが、敬語は日常の中に溢れています。
    お仕事をしている方なら一日の中で必ず一度は敬語を使っているでしょうし、お仕事をしていない方でもご近所さんへの挨拶や街中でふとした瞬間に敬語って使っていますよね?
    その敬語の中に思わぬ落とし穴が隠れているのはご存知でしょうか?
    例えば・・・

    (例文1)ご連絡させていただきます。

    (例文2)お乗りになられますか?

    どちらも意味は伝わるので間違ってるとは思わず使ってしまいますが
    上の2つの例文、実は間違っているんです。

    どこに落とし穴が隠されているか分かりますか?

    そもそも二重敬語とは何か

    二重敬語とは

    1つの語句に対して二つの敬語を重ねるということです。

    相手に失礼のないように丁寧な言葉遣いを意識すればするほど敬語を多用してしまうことで発生するのが二重敬語です。

    しかし、敬語を重ねることによって相手の敬意が高まるわけではありません。

    逆に敬語を知らない人、ビジネスマナーがなってない人という印象を与えてしまうことにもなり兼ねないのです。

     

    上の例文に戻ってみましょう。

    落とし穴とはずばり二重敬語になっているということです。

     

    (例文1)連絡させていただきます。

      =謙譲語

      させていただく=「する」の謙譲語

    謙譲語を二度重ねて使っている二重敬語になります。

    正しい敬語は「ご連絡します」になります。

     

    (例文2)乗りになられますか?

      =乗るに対する尊敬語

      なられる=動詞に対する尊敬語(例文の場合は“乗る”という動詞の対する尊敬語)

    尊敬語を二度重ねて使っている二重敬語になります。

    この場合は「お乗りになりますか?」が正しい敬語になります。

     

     

     

     

     

    二重敬語は失礼なの?

    では、二重敬語は失礼に値するのかを考えていきましょう。

    近年の日本では二重敬語を使われたことで腹を立てる人はほとんどいないと思われますが、敬語を重ねることでしつこく感じて不快に思う人やまわりくどい印象を与えてしまいがちです。
    二重敬語を使う=敬語の使い方を知らない人
    と認識されてしまう面では失礼というよりは恥ずかしいことのほうが多いかもしれません。
    また、年配の方で気にされる人や語学の知識がある人に対しては、やはり不愉快にさせてしまう面で、失礼になってしまうことがありえるのです。

    ですが、「お召し上がりになる」など慣例として定着化している語もあります。

    二重敬語を意識し過ぎると言いたいことが伝わらなくなってしまったり、更に敬語を重ねてしまい意味が伝わらない言葉にもなりますので気を付ける必要があります。

    「お伺いさせていただきます」は二重敬語か

    ここまで正しい敬語、二重敬語の説明をしてきましたが
    さて、

    「お伺いさせていただきます」

    は正しい敬語なのでしょうか?
    二重敬語にはなっていないでしょうか?
    例文のように言葉を分けて考えてみましょう。

    「お伺いさせていただきます」

    =謙譲語

    伺う=「行く」の謙譲語

    させていただく=「する」の謙譲語

    ます=丁寧語

     

    ご覧のとおり謙譲語が3つも重なっていますね。

    「お伺いさせていただきます」は立派な二重敬語になります。

    「お伺いさせていただきます」を使うとどうなるか

    「お伺いさせていただきます」は二重敬語であることがわかりました。
    正しい敬語ではないと知った以上、使わないことがマナーです。
    ただ、もう一点、「お伺いさせていただきます」には気を付けなければいけない点があるんです。

    ~させていただきます、~させていただきましたの注意点

    「~させていただく」という表現の仕方はよく聞きますし、使いがちですが
    この言葉には定義があるのをご存知ですか?

    「させていただく」を分解すると
    「させて」には相手に許可を受けて行動する
    「もらう」(謙譲語にすることで「いただく」になる)にはその相手から恩恵を受ける
    という意味が込められています。
    つまり、相手の許可がない状態で「させていただく」を使うことは
    「(こちらの勝手で)○○します」という意味になってしまうのです。

    いただくと頂く

    「お伺いさせて頂きます」「お電話させて頂きます」などメールでこのように変換していませんか?
    漢字で表記されてるものもよくみかけます。
    相手の許可も受けていて言葉そのものは間違っていなくても「いただく」を「頂く」と漢字にすることは間違った変換になります。
    「頂く」の漢字には食べる・飲むの謙譲語になりますので、動作に対する「いただく」を表現する場合は漢字で表記することは避けましょう。

    させていただくの使用例

    「お伺いさせていただきました」と同様に
    「お電話させていただきました」ってよく使いますよね。
    相手から電話をしてほしいなど要求があった場合は許可を受けて電話するのですから正しい使い方になります。
    こちらから一方的に電話をしているのであれば相手の許可を受けていませんので間違った使い方になります。
    面接などでまず電話するときも「お電話させていただきました」は正しい敬語ではないので
    そのようなときは「お電話しました」が正しい敬語として正解といえます。

    お伺いさせていただきます

    「お伺いさせていただきます」は、どうなるのでょうか。
    相手の許可を受けているのかどうかの問題の前に「お伺いさせていだきます」は二重敬語である以上、正しい敬語ではありません。
    相手の許可を受けてない場合は
    『こちらから勝手に』という意味が含まれることになるので、大変失礼な言い方になってしまうのです。
    さらに「お伺いさせて頂きます」と漢字に変換してメールを送ってしまった場合は何重にも失礼になるので漢字の意味も理解する必要がありますね。

    「お伺いさせていただきます」に代わる敬語は?

    ここまで「お伺いさせていただきます」には3つの謙譲語を使用している二重敬語であることを説明してきました。さらに「~させていただきます」は使い方によってはとても失礼な表現方法になることもわかりました。

    では「お伺いさせていただきます」のような意味を正しい表現にするにはどうすればいいのでしょうか?

    「お伺いします」と「伺います」

    「お伺いさせていただきます」は

    「そちらに行きたい」「○○について聞きたい」という意味の言葉を

    敬語にしようとしたものです。

    まず、二重敬語である

    させていただく」の謙譲語を丁寧語の「します」に変えてみましょう。

    すると

    「お伺いします」になります。

    これを紐解くと

    お伺いします」

    =謙譲語

    伺う=聞く、尋ねる、行くの謙譲語

    になりますので、「させていただく」を取ったところでまだ二重敬語になってしまうのです。

    ですが、「二重敬語って失礼なの?」の項目で触れている「お召し上がりになる」と同様に「お伺いします」も使用例が定着化され、間違った表現ではないとされています。

     

    ただ、厳密に言えば二重敬語になりますから謙譲語の「お」を取って

    伺います」と表現するのが最も適した敬語になります。

     

    「伺います」と言いたい時の例文

    ここからは「訪問したい」ときの「伺います」の例文を紹介します。

    お得意様の営業先に向かう時

    ビジネスシーンでよく使う「伺います」
    それぞれの状況時に使う例文です。

    メールでアポイントメントを取りたい場合

    自分が相手先に行きたい旨を伝えます。

    ・「ご挨拶に伺いたくご連絡しました。」

    ・「○月○日に貴社へ伺いたく存じます。」

     

    相手先に到着し受付で名乗る場合

    ・「○○課の○○様とのお約束で伺いました○○と申します。」

     

    後日、お礼の連絡をした場合

    ・「先日○○の件で伺いました○○と申します。」

     

    自分をへりくだって相手を立てることが重要なポイントになります。

    また自分のために時間を作っていただいたという意味では後日のお礼をすることも大切だといえます。

     

     

    彼女のご両親に挨拶へ向かう時

    ビジネスと同じくらい礼儀やマナーに気をつけたいご両親への挨拶。
    幾つも敬語を重ねてしまいしがちです。かと言ってビジネスっぽくなるのも防ぎたいですよね。

    変に畏まらずに

    「ご挨拶に伺いました。」と簡潔に伝える方が好印象です。

    また、ご両親の好物や実家での出来事など彼女から聞いている話が出た場合は

    「○○と伺っていたので・・」と聞いていたの謙譲語として伺うを使うことができます。

    面接で会社に向かう時

    メールや電話で「面接に来てください」と連絡があったときにどのように答えれば良いのか迷ったことはありませんか? アルバイトなどでは気負わずに「はい、わかりました」でも十分かもしれませんが ここで「伺う」という言葉を使うことで印象がよくなりますよね。

    「では○月○日○時に伺います

    と答えるのが正しい敬語を使った返答といえます。

    面接前に好印象を与えることができるので積極的に使ってみましょう。

    敬語を使う時に気をつけること

    敬語には3つの種類があり、二重敬語があり、使い方によっては相手に不快感を与えてしまうことがある表現方法です。
    電話やメールで使用するときはもちろん、話す前に少し気をつけることで正しくきれいな敬語を使えるようになるはずです。

    相手の人との関係性+動作を行う人

    敬語を使ううえで最も気をつけることは
    相手が誰で自分からみてどの立場にいる人なのか、を見極めることです。

    尊敬語

    相手を一段上に上げて敬う気持ちを表現するときに使う言葉。

    動作をする人は「相手」

    ・「お(ご)~になる」 例:お飲みになる、ご覧になる

    ・「お(ご)名詞 形容詞」 例:お名前、お忙しい

    ・「~れる られる」 例:通われる、 いらっしゃる

     

    謙譲語

    自分が一段低いところに下がって相手を立てるときに表現する言葉。

    動作をする人は「自分」

    ・「お(ご)~する」 例:お待ちする、拝見する

    ・「お(ご)~いただく」 例:ご指導いただく

    ・「~させていただく」 例:読ませていただきます

    ・「お(ご)~願う」 例:ご登録願います

     

    尊敬語と謙譲語の違いは誰に対して使う敬語なのかで大きな違いがあるのです。

    敬語を使うということは礼儀につながる

    敬語とは相手にこちらから敬意を表したいときに使われる言葉です。
    敬語を使うということは相手を敬う気持ちがあるということになりますよね。
    それはつまり、礼儀正しいことになるのです

    礼儀の1つに「相手を敬う心づかい」という意味が含まれます。

    「敬う」という意味で
    敬語を使う=礼儀がなっているという印象が与えられます。

    「訪問する」も敬語?

    先に答えを出すと「訪問する」は敬語ではありません。
    訪問するとは「訪問」という名詞に「する(為る)」の動詞を付けた言葉です。
    訪問には訪ねる(訪ねる)訪れる(訪れる)の意味があり
    訪ねることをするという意味で「訪問する」と使います。

    訪問するの尊敬語

    尊敬語は動作するのが相手なので相手に対して使われます。

    ・訪問される

    ・訪問なさる

    などと使います。

     

    目上の相手が訪問するときに使うので、

    例えば

    「明日、お義母さまも訪問されますか?」

    「取引先には課長もご訪問なさいますか?」

    となります。

    訪問するの謙譲語

    謙譲語は動作する人が自分なので自分の立場をへりくだって表現するときに使います。

    ・ご訪問する

    ・ご訪問します

    ・伺う・参る

    などと使います。

     

    自分が目上の人のところへ訪問するので

    例えば、

    「○月○日に貴社にご訪問します」

    「明日に伺います」

    となります。

    「お伺いさせていただきます」は使わないようにしましょう

    お伺いさせていただきます、は正しい表現ではありません。
    正しい敬語でもありません。
    「お伺いさせていただく」「お伺いさせていただきます」は使わないことが適切です。
    今、もし
    「お伺いさせて頂きます。」とメールを打っている途中なら、すぐに消しましょう。
    「お伺いします。」に打ち直すのが正しい敬語です。

    これから「お伺いさせていただきます。」と言う場面に出くわすなら
    「お伺いします。」に言い換えましょう。

    「お伺いさせていただく予定です。」と言ってしまう前に
    「お伺いする予定です。」と頭の中で唱えましょう。

    正しい日本語を使える人になろう

    便利な言葉である「お伺いさせていただきます」を正しい敬語に言い換えると

    「伺います」と簡潔で短い分になります。

    なんだか敬いが足りないような気がしますが、「伺う」が謙譲語なので十分に相手を敬っていることになるのです。

    それでも何か足りないと思うなら「伺いますのでよろしくお願いします」と付け加えると より丁寧に聞こえます。

    誰に対して使う敬語なのか、二重敬語になってはいないか、この2点を意識することで

    正しい敬語が身近に使えるようになるはずです。

     

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