2018/12/27
新川理沙
2018/10/20 更新
皆さんは「ご留意ください」の意味をご存知でしょうか?似たような言葉に「ご注意ください」という言葉がありますが、うまく使い分けられていますでしょうか?今回の記事では、「ご留意ください」の意味や使い方、類語、例文、言い換え語などについて徹底解説します!
「ご留意ください」という言葉を、一度は聞いたことがあると思います。似た言葉に「ご注意ください」という言葉もありますよね。
どちらにも「気を付ける」という意味がありますが、その度合いが違います。この2つの正しい使い方や違いは知らないなぁ、という方!是非この記事を読んで習得してくださいね。
≪ご留意≫には、心にとどめるという意味があります。「何か物事を頭に置いておく」、「気を付ける」という意味の言葉です。
「留」はとどめる、「意」は心のうごきを表していることからもなんとなくイメージできるかと思います。そして、相手に敬意を表す接頭語の「ご」を付けたものが≪ご留意≫です。自分自身が心に留めていることを表現するときには「ご」はつけません。
では、実際にどのような使い方が正しいのか、例文をご紹介いたします。
続いて、以下は相手に何かをしてほしいときなど、相手にお願いをする時の使い方の例文です。
⑥ こちらの資料内容に今後ご留意いただけますと幸いです。
⑦ お体には十分ご留意くださいますようお祈り申し上げます。
⑧ 当美容院ではシャンプーおよびブローのサービスは行っておりませんのでご留意くださいませ。
⑨ 割引サービスは今月末までとなっておりますのでご留意くださいませ。
⑩ 9時から12時までは場内工事のため迂回路をご利用いただくこととなりますので、ご留意いただきますようお願い申し上げます。
⑥~⑩の例文では、相手に気を付けてほしいということを伝える意味で≪留意≫が使われています。そのため、「ご」のついた使い方をしています。
冒頭で少し話題に出しましたが、≪ご留意≫に似た言葉に≪ご注意≫という言葉がありますよね。この違いは皆さんご存知でしょうか。以下にご注意の意味と、「ご留意」と「ご注意」の違いについてご説明します。
「ご注意」には以下のような意味合いがあります。
・気をつけること
・意識を集中させること
「注意」という言葉には警戒するという意味もあります。意を注ぐ、つまりあることに意識を集中させるという意味です。意識を集中させるということからもわかるように、この言葉を使用する対象は具体的な物事が多いです。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、≪ご留意≫と≪ご注意≫では気を付ける度合いの強さが違います。
≪ご留意≫は「抽象的な物事」に対して使われ、常に気を張り詰めてその物事を気を付けるようなことは指していません。ただし、1回きりの意識ではなく、「ある程度の期間の中で何度か頭の中で意識し気をつけること」を表します。また、「注意」とは違って警戒するという意味はありません。
一方、≪ご注意≫は具体的な物事に使われ、気を付けるのはその物事に直接関係するときであり、そのときに特に神経を集中させるようなことを表しています。また、悪いほうに状況が変化することを警戒するという意味合いもあります。
つまり、≪ご留意≫と≪ご注意≫であれば≪ご注意≫のほうが気を付ける度合いは強いといえます。
例えば「健康に留意する」というときに使う≪留意≫はある程度の期間、継続的に行ことを指していますが、四六時中意識をすることではないですよね。また、「こぼさないよう注意する」というときなどに使う≪注意≫は、その物事が悪いほうへいかないように神経を集中させているという意味があります。
それから、「留意」と「注意」という言葉にそれぞれ「点」を付けた、≪留意点≫、≪注意点≫という言葉もあります。こちらの使い方も気を付ける度合いの強さによって違います。
≪留意点≫は心にとどめておいてほしい事柄に使い、絶対に守らないと何か危険なことや罰せられることがあることには使いません。≪注意点≫は、その事柄を必ず守ってほしいことに対して使います。例えば、「サービス利用時の留意点」というと、利用時に心に留めておいてほしいこと、「サービス利用時の注意点」であればサービスを受けるときに守らなければならないことという意味として捉えることができます。
ビジネスではどのような使い方をするのか、ここからご紹介いたします。
≪ご留意≫の意味や使い方はなんとなくわかったけど、実際にビジネスではどのように使うのかいまいちわからないなぁ。という方もいらっしゃると思います。
では、「ご留意ください」という言葉の使い方を例文でご紹介いたします。
ビジネスで「ご留意ください」という言葉を使うときにちょっと注意しておきたいことがあります。それは、≪ご留意≫は気を付ける度合いが弱い=やわらかい表現ということではないということです。
目上の方に対して、「ご留意ください。」と言ってしまうと、「ご~ください」という形なので丁寧な形と思いきや、意味としてはご留意しなさいと同じような意味となってしまいます。少しニュアンスの話なのですっきりとした説明をするのが難しいですが、丁寧な形で伝えたい場合は「ご留意ください」という使い方では良くないと思ってください。
例えば、「何卒ご留意くださいますようお願い申し上げます。」など、それぞれ場面に応じて丁寧な使い方や言い方をするほうが良いです。
では、ビジネスメールでの使い方の例をご紹介いたします。
メール件名:アンケート調査
△△会社 購売部 △△ 様
平素より大変お世話になっております。 ○○会社、販売担当○○と申します。
この度は、○○のご注文をいただき誠にありがとうございます。 さて、弊社では現在、製品の品質の向上のために、簡単なアンケート調査へのご協力をお願いしております。お手数をおかけしますが、添付いたしましたファイルをご確認をしていただくよう、何卒お願い申し上げます。
なお、今月中にご回答いただけますと、次回ご注文時にご利用代金から10%値引きいたしますので、ご留意のほどよろしくお願いいたします。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
メール件名:納品日のご連絡
いつも大変お世話になっております。 ○○会社 生産部門○○と申します。
先日ご注文いただいた製品につきましては、現在仕上げの工程に進んでおります。
○月○日の納品をご希望の場合は、本日午後3時までにご返信いただけますと、予定を早めた手配も可能ですので、ご留意くださいますようお願い申し上げます。
メール件名:出張のご連絡 ○月○日から○月○日まで
いつもお世話になっております。
○○会社○○部○○でございます。
差し迫ってのことで申し訳ございませんが、
○月○日から○月○日までの3日間、出張のため会社を不在にいたします。
出張中に何かございましたら下記のとおり、携帯電話にご連絡をいただけると幸いです。
期間中、何卒ご留意くださいますようお願い申し上げます。
携帯電話番号 ○○○-○○○○-○○○○
携帯メールアドレス ○○○@○○.jp
メール件名:カタログ送付のご案内
平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます。
○○会社 販売部 ○○でございます。
さて、先日ご依頼のありました商品カタログを送付させていただきます。 ご注文をいただく前に、商品のサンプルを無料で差し上げることもできますので、ご希望の商品がございましたら、ご一報のほどお願い申し上げます。
なお、カタログに掲載商品の100セット以下のご注文につきましては、表示価格の2割増しの代金をいただくこととなります。何卒ご留意くださいますようお願いいたします。
メール件名:装置設置日について
この度は弊社の分析装置○○をご注文いただき、誠にありがとうございます。
○○会社 販売営業部 ○○と申します。
早速なのですが、後日こちらの装置の設置にお伺いしたく存じます。
お忙しいところ大変恐縮ですが、下記の候補日の中にご都合のつく日はございますか。
候補1:○月○日
候補2:○月○日
候補3:○月○日
なお、設置のため2時間程度のお時間をいただきたく存じます。このことをご留意の上、ご検討くださいますと幸いです。設置開始の時間につきましては午前9時以降15時までの間から、ご指定いただけますと幸いです。
つきましては、装置使用に関する留意点がいくつかございますので
添付資料「分析装置○○の使い方及び留意点」をご一読いただきますようお願い申し上げます。
メール件名:○月○日 合同会議のお知らせ
管理職 各位
お疲れ様です。
○○部の○○です。
下記のとおり、合同会議を開催いたしますので
ご参加のほどよろしくお願いいたします。
日時:○月○日16時から
場所:3階会議室
議題:○○について
なお、会議終了は18時頃を予定しておりますのでご留意のほどよろしくお願いいたします。
≪ご留意≫には、「心する」や「気配り」、「考慮」など様々な類語があります。
上記にご紹介したもの以外の≪ご留意≫の類語をここでは4つ、使い方のご説明も兼ねて例文と合わせてご紹介いたします。(類語とは、意味が似ている語の意味です。)
≪配慮≫には「他のことや、他の人のためにこころを配る」という意味があります。例えばお年寄りに配慮した生活環境づくりは、お年寄りがいることを留意した生活環境づくりとも言い換えられます。
では、ご配慮の使い方を理解していただけるよう例文をご紹介いたします。
・この度は、足の不自由な父親のためにご配慮くださりありがとうございます。
・刃物は子どもの手の届くところには置かないようにいつも配慮しています。
・こちらのご配慮が足りず、お客様に不快な思いをさせてしまい大変申し訳ございません。
≪用心≫には「気を付ける」や「万一に備えて警戒すること」といった意味があります。
では、≪用心≫の使い方を理解していただけるよう例文をご紹介いたします。
・災害はいつ来てもおかしくないので、常に用心しておくべきである。
・もうすぐ冬になるので、風邪をひかないように用心する。
・トイレ清掃をしたばかりで床が滑りやすいですので、足元にご用心ください。
≪心遣い≫には、「配慮」や「心配り」という意味があります。「遣」という語にはつかわせるという意味があります。心を遣わせるということは相手のこころに寄り添った行動をすること、心遣いは相手のことを思いやって行う行動だと解釈でき、思いやりの気持ちを相手に伝えるときに使います。
では≪心遣い≫の使い方を理解していただけるよう例文をご紹介いたします。
・(事前に必要なチケットを手配してくれていたときに)
このような温かなお心遣いをいただき、深く感謝申し上げます。
・(お祝儀をもらったときに)
先日は、お心遣いを賜りありがとうございました。
・(仕事の異動先で仕事に取り掛かりやすいよう備品を整えてくれていたとき)
このようなお心遣いをいただきありがとうございます。
≪関心≫には物事に心をひかれることや、それを気にかけるという意味があります。
では、関心の使い方を理解していただけるよう例文をご紹介いたします。
・最近の私は健康に関心を寄せています。
・お客様の関心を引くために、積極的に実演販売を行っている。
・もちろん第一志望は○○高校だが、△△学校にも密かに関心を寄せている。
「ご注意」と「ご留意」にはどちらにも気を付けるという意味はあります。
ですが、気を付ける度合いの強さでいうと「注意」の方が強いことや、注意には警戒という意味も含まれていることをご紹介しました。
また、ビジネスでの使い方も様々で、目上の方に「ご留意ください」というのは命令口調に聞こえてしまうことや、場面に応じて多少前後の文脈を変化させる必要があることなどイメージをつかんでもらえたでしょうか。
ご留意には類語も多くありますので、今回ご紹介した言葉を臨機応変に選び、使っていただければと思います。
「ご留意」と「ご注意」、この2つの意味合いや使い方が若干違う事をご理解いただけましたら幸いです。
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Copyright© 運営事務局
まず自身が気を付けたり、心がけていることを表現するときの使い方です。
① 仲間に常に思いやりをもち接することを留意する。
② 私は健康のために、なるべく糖質や脂質を取り過ぎないように留意しています
③ 部内会議では積極的に意見を集めることに留意しております。
④ 仕事が長引いても、夕飯の時間までには帰宅するように留意する。
⑤ キーボードが打ちにくくなるので、爪は適度に短くしておくように留意しています。
≪留意≫という言葉が日常の中で心がけたり、気を付けたりしているという意味で使われていることがわかりますね。