2018/12/27
新川理沙
2018/10/29 更新
「お伺いを立てる」はビジネスのシーンではよく使われる表現。日常生活での使用頻度は少ないものの、正しい意味や使い方がわかっていないといざという時に恥をかくかも。今回は「お伺いを立てる」の正しい意味・使い方。類語まで徹底解説していきます!
『お伺いを立てる』という言葉を聞いたことはあるでしょうか。社会人なら誰もが使うビジネス用語の『お伺いを立てる』という言葉ですが、その使い方や意味をしっかりと理解している人は少ないはずです。今回の記事では、社会人ならぜひ知っておきたいビジネス用語である『お伺いを立てる』という敬語の意味や使い方、類語をご紹介します。
『お伺いを立てる』のような敬語は、正しく使うのがビジネスシーンにおいてのマナーです。これら謙譲語を正しく使えない人は、社会人として非常に不出来であると思われてしまいます。もちろん、自分が使う場合だけでなく、誰かが使用した際にその言葉の意味を正しく理解している必要もあります。
今回の記事では、『お伺いを立てる』という言葉の正しい使い方を、例文を交えてしっかりと説明していきます。もしも今現在『お伺いを立てる』という言葉の意味を知らない方、なんとなくしか知っていない方はしっかりと記事を読んで、これから正しい使い方をするようにしましょう。
『お伺いを立てる』の正しい意味は、『上司など自分より立場の人へ、ある事柄に対して問題が無いか確認すること』です。『伺う』という言葉は聞くや尋ねる、確認するなどの敬語として使われます。『伺う』をより丁寧に表現する方法が『お伺いを立てる』という言葉なのです。こういった言葉の正しい意味を知ることは、ビジネスマンとして当然のマナーとなりますので、絶対に覚えておくようにしましょう。
『お伺いを立てる』という言葉に限らず、謙譲語のようなビジネスシーンに多用される言葉については、正しい意味を知るためにすべきことがあります。上記に正しい意味を記載しましたが、周りの人も同じように正しい意味を理解しているとは限りません。もしも自分以外の誰かが「おかしいな」と思う使い方をしていた場合は、その人に意味を訪ねてみましょう。言葉とは時代や流れで意味を変えるものですので、相手に合わせる必要がある場面も出てきます。
『お伺いを立てる』という言葉を使う際、相手が大事な人であったり上役の人であるならば正しい使い方をする必要があるでしょう。しかし、その他の人相手に使う場面の場合は、必ずしも正しい意味で使わなければならないというわけではありません。『お伺いを立てる』という言葉を皮肉として使う人だっていますし、相手にしっかりと伝えたいことが伝わるのであれば、ある程度無茶な使い方をしても良いでしょう。
『お伺いを立てる』という言葉の語源は、様子を探る、機会を狙うなどと元は同じ語です。目上の人の様子を伺いみるという意味から、その動作の相手を敬う意味が生じたとされています。実は、『お伺いを立てる』という言葉に『お』は必要ありません。『伺いを立てる』という言葉で謙譲語となっており、『お伺いを立てる』と言ってしまうと二重敬語となってしまうのです。ですが、間違いというわけではありません。
語源というのは、あくまで語源です。こういったことがあって使われるようになったということであり、必ずしも語源と同じ場面で使わなければならないというわけではありません。また、『お伺いを立てる』という言葉が二重敬語であると記載しましたが、これも間違いというわけではありませんので、問題なく使用できます。むしろ、『伺いを立てる』と使った場合は敬語じゃないと思われてしまう場合もありますので注意が必要です。
『お伺いを立てる』という言葉を正しく使えるようになるには、その言葉のなりたちをしっかりと考える必要があります。『お伺いを立てる』を分解すると、『伺う』と『立てる』という二つの単語が出てきます。『伺う』というのは訊ねる、訪問するといった意味がありますから、その後に付く『立てる』という単語には動作を示す意味があることが分かります。かみ砕いて言えば、『お伺いを立てる』というのは『〇〇をしてもいいか?』や、『〇〇へ向かってもいいですか?』のような意味があるということが分かります。
『書類に不備があるかどうか、部長にお伺いを立てます』や、『その件に関して問題がないか、課長にお伺いを立てます』といった形で使用します。自分より年上や、立場が上の人に対して質問や確認をする必要がある場合に使用できる例文です。『聞いてみます』や『確認してみます』といった言葉をビジネスシーンで敬語にまとめたものになります。
『〇〇の日程についてお伺いを立てさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?』や、『明後日の件についてお伺いを立てさせていただきたいのですが』といった形で使用します。こちらは上司などに対して質問があるといったビジネスシーンで使用する言い表し方となります。
『その案件につきましては、〇〇社にお伺いを立てています』や、『その案件に対して既に〇〇社にお伺いを立てています』といった形で使用します。こちらは取引先とのやり取りに対しての使い方で、『〇〇社に聞いています』や『問い合わせをしています』といった意味をあらわす使い方です。
『〇〇の企画書については、担当の者にお伺いを立ててください』や、『こちらの件については、部長にお伺いを立ててください』といった形で使用します。目上の人に『許可を取ってもらう』や『了承を取ってもらう』といった意味の言い表し方になります。同僚や先輩程度の相手であれば、そのまま『承諾してもらう』などの言葉で十分です。
『その件は部長にお伺いを立てた方がいいんじゃないか』や、『課長にお伺いを立ててから進めよう』といった形の使い方をすることもあります。話している相手が目上の人でなくとも、話している内容に目上の人が出てくる場合は使用する必要があります。必ずしもそうとは限りませんが、こういうシーンでも敬語を使えるのは立派なビジネスマンである証でもあるのです。
『お伺いを立てる』という言葉の中にも使われている言葉です。この類語、『伺う』というのは分からないことを聞くという意味があり、ビジネスシーンで使える敬語ではありません。『伺う』に『立てる』という言葉を付け足すことによって、ビジネスシーンでも恥じることのない敬語となります。
しかし、どの場面であっても『お伺いを立てる』という言葉が適切というわけではありません。例え自分より立場が上の人相手に話す状況であっても、『お伺いを立てる』より適切な単語がある場面もあります。間違えても失敗したくないという人は、しっかりとシーンに合わせて使える例文にしたがって使うようにしましょう。
『訊ねる』という言葉はよく見るという人もいるでしょう。こちらの類語は口に出して使う言葉というより、書面や本などによく記載される表現です。『お伺いを立てる』ほどうやうやしい言葉ではありませんが、それでも相手に対して敬意をもって接しているという意味を持つ言葉になります。
一人称の物語などによく使われる『訊ねる』ですが、これを言葉に発して使う機会はまずありません。例えば『道が分からないので、道中で訪ねてから向かいます』など、ちょっと無理やりな使い方になってしまいます。ですので、『訊ねる』をそのまま使う場合はメールや書面で書く際に使いましょう。
『質問する』という動詞は、そのまま『お伺いを立てる』の意味となっていることもあります。この類語は、そのまま使うのはあまりに無骨すぎる言葉といえるでしょう。ビジネスシーンで敬語として使用する場合は、『質問』という単語自体がアウトとなりますので気を付けるようにしてください。逆に言えば、『質問』という単語を『伺う』に切り替えるだけで、ビジネスシーンにおいても恥の無い敬語として使うことができるわけです。
『質問する』をそのまま使う場合は、『あなたに質問します』などの使い方になります。『お伺いを立てる』と違い、立場が上の人間が、下の人間に対して使う言葉としても少し失礼な言葉になります。メールや書面においても、『質問する』という単語をそのまま使う必要はありませんので、なるべくこういった意味の言葉を使う際は『お伺い』という単語を使うようにしましょう。
『問い合わせる』というのは、主に上の立場にあるものが下の立場にあるものに対して使用する言葉です。これをビジネスシーンに合わせた敬語にしたものが『お伺いを立てる』となるわけです。こちらの類語は他の類語に比べるとビジネスシーンに近いものがありますが、実際には正反対の意味と言ってもいいでしょう。間違っても使わないように注意する必要があります。
『〇〇について問い合わせておいて』のような使い方をする場面が殆どですが、まれに『〇〇に問い合わせてみます』のような使い方をしている人もいます。これはビジネスシーンにおいてNGです。『お伺いを立てます』のようにしっかりと謙譲語になおして使うようにしましょう。気を付けたいのは、『問い合わせる』という言葉自体、現代に慣れ親しんでいるため口をついてしまいやすいという点です。間違っても言わないように注意してください。
『お伺いしております〇〇の件についてですが』や、『そちらの件は社長よりお伺いしております』といった使い方をすることもあります。こちらは社外に対してのメールなどの文面に使用できる例文です。『お伺いを立てています』などの使い方は不自然となりますので、メールや書面で使用する場合は『お伺い』の部分だけを取り上げて使用する場合が殆どです。
自分が既に知っている事柄に対しての返答として使う例文ですが、『お伺いしております』以外の言葉でそれを伝えようとしてしまうと、あまりに失礼な言い方になってしまうことがあります。『それはもう知っています』や、『承知済みです』のような言葉になりますが、相手に対して馬鹿にしているような印象になってしまいがちなので注意してください。不快な思いをさせないためにも、『お伺いを立てる』という言葉をしっかりと使えるようにしましょう。
『明日お伺いしてもよろしいでしょうか』や、『御社にお伺いします』といった形で使用します。これらも『お伺いを立てます』といった使い方ではなく、『立てる』の部分を捨てた言い回しです。メールや書面で使う際、『お伺いを立てます』をそのまま使う場面は殆どありません。使う場面は、『お伺いを立てるようお願いいたします』のような使い方になります。『誰かから誰かに対して何かをお願いする場面』に使用するわけです。
この場合を砕けた言い方にすると、『明日向かいます』のような言葉になります。意味としてはとても分かりやすいのですが、これももちろん目上の人や取引先の相手に使う言葉としてNGです。同僚や先輩に対して使う分には問題ありませんので、そういった相手とのメールや書面の場合は『向かいます』といった言葉を使いましょう。しかしこの場面も、上司に何かを訪ねるといった内容の場合は『明日部長にお伺い立てるよ』といった形で使用するようにしてください。
『お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか』や、『ご連絡先をお伺いしてもよろしいでしょうか』のような、相手に何かをお願いする、許可を取るなどの場合に使用する例文です。こちらも『立てる』を使わずに、『お伺い』として使用します。『教えてください』などの言葉の意味をそのまま『お伺い』として使うイメージで問題ありません。丁寧にメールを送る際は、『お伺いを立ててもよろしいでしょうか』のように違和感のある文にしないよう注意してください。
こちらを砕けた言い方になおすと、『お名前を聞いてもいいですか?』や、『連絡先を教えてください』のような形になります。これは駄目であるということが簡単に分かるでしょう。そもそも相手に対して何かを求めているのですから、絶対に謙譲語を使う必要があるといえます。ちゃんと『お伺いを立てる』という言葉を使って、相手に対しての敬意を見せるようにしてください。
『お伺いを立てる』という言葉を正しく使うには、その言葉の持つ意味や使い方をしっかりと学ぶ必要があります。文面で理解するだけでなく、実際に使うことも重要です。間違って使うことを恐れずに、『お伺いを立てる』という言葉を使っていくようにしましょう。もしも間違ってしまえば、それが経験となって正しい使い方を学ぶことができます。焦らずに、しっかりと違和感のないタイミングで使うようにしましょう。
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