2018/12/27
新川理沙
毎年多くの外国人が移住をしている「カナダ」。涼しく夏を過ごせる一方で、厳しい寒さを迎える長い冬が到来するにも関わらず、移住先としては抜群の人気を誇っています。今回はそんなカナダへの移住におけるメリット・デメリットや生活費について解説します。
日本人から留学先として人気のカナダは、移住する国としても人気があります。カナダといえば都心でありながらも自然が豊かで、治安も良く住みやすいというイメージを持っている人がほとんどだと思いますが、実際のカナダはどうなのでしょうか?
そこで今回は、カナダ移住のメリット・デメリット、カナダでの生活費など、カナダ移住に関してのさまざまな情報をお届けしていきます。カナダへ移住することを考えている人は、ぜひ参考にして下さい!
まずはじめに、カナダに移住するメリットをご紹介します。日本人に人気の移住先としてはハワイなどもありますが、なぜカナダに移住する人もいるのでしょうか?そこにはきっと、カナダにしかないメリットがあるからだと考えられます。一体どんなメリットがあるのでしょうか?
日本人が海外に行く時の大きな心配事の一つは、現地の「治安」ではないでしょうか。日本はとても平和な国で普段はあまり治安のことは意識していないため、実際に外国に行くとなるとかなり気になりますよね。カナダの治安はどうかというと、他の国に比べたらいいと言えるでしょう。イギリスのエコノミスト誌が発表している“世界平和度指数”ランキングの2017年の結果では、カナダは8位でした。
そうはいっても、やはり日本に比べれば安全とは言えません。実際にカナダの犯罪発生件数は、日本の5倍だそうです。カナダに移住した際は、日本に住んでいる時より緊張感を持って生活した方がいいかもしれません。
日本でも夏は日照時間が長いですが、カナダの「夏の日照時間」はとても長くなっています。バンクーバーでは、朝4時から夜22時と18時間も日が差しています!そのため、1日に行動できる時間が長いのです。そんな暮らしをしたことがない日本人にとっては想像ができませんが、なんだか得している気分になれそうですよね。
一方で、冬の日照時間はバンクーバーでは朝8時から夕方16時までと短めです。夏の日中に思う存分動いて、冬は家での暮らしを楽しむというスタイルになりそうですね。
なんとカナダは、「医療費と教育費が無料」なのです!日本人からしたら信じられないですよね。医療費は大人でも子供でも、無料です。薬代は払わなければいけませんが、それ以外は支払う必要がありません。とても優しい制度ですよね。
また、学校は高校までの費用は無料となっています。私立高校に行った場合はどうかというと、州の政府が公立高校に行った場合の費用を負担してくれるため、それほど高くはありません。大学は、国立大学であれば学費は年間30~40万円、私立の場合でも補助金が出るため、日本ほど高くはありません。医療と学校の2つの費用が抑えられれば、余裕を持った暮らしができそうですよね。
カナダに住む日本人や、留学などでカナダに住む経験のあった人が口を揃えていうのが、「カナダ人はとても優しい」ということ。通りすがりの知らない人とも挨拶を交わしたり、困っている人を見かけると、すぐに声をかけて助けてくれるそうです。また、人を傷つけないという意識も強く、意見がぶつかりそうな時は、事前にそうならないように話を持って行く兆候があるという声も聞きます。
カナダ住むと、暮らしに慣れるまでは不安だと思いますが、優しいカナダ人なら手を差し伸べてくれるはずです。困ったら思い切って頼ってみるのもいいかもしれませんね。
カナダにはこれまで説明してきたような、治安の良さや暮らしやすさ、医療費や学費などの費用などの良さに惹かれ、多くの国の人が移住してきたり留学したりしています。そのため、カナダには「多くの国籍や人種の人」がいます。日本では普段住む環境に外国人がいることはまだまだ少ないですが、カナダで暮らしていると多くの人種の人と交流することになります。
日本人にとっては、最初は戸惑うことがあるかもしれません。しかしいろいろな人種の人と関わるということは、自分の視野を広げてくれ、暮らしを豊かにするかもしれないので、積極的に関わっていきましょう。
カナダといえばバンクーバーなどの都市が思い浮かぶと同時に、「自然」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?カナダは世界で2番目に大きな国で、環境保護に熱心な国です。国内には40以上の国立公園や国立公園保護区が点在し、それらにより300,00平方kmが自然に覆われています。
また、自然を楽しめる屋外でのスポーツやレクリエーションなどもいっぱいあります。BBCのアウトドアアドベンチャーで選ばれたトップチャートには、バンクーバーもランクイン。都心から離れたところで楽しめるのはもちろんですが、バンクーバーなどの都会でも自然と一緒に住むことができるのです。
カナダは、緑に囲まれているだけではなく、冬には雪がたくさん降るので、「ウィンタースポーツ」も楽しめる国です!山も高さがあり距離も長い箇所が多いため、スキーなどでは思いっきり滑ることができます。実際にカナダには、世界中からウィンタースポーツのプロ選手も練習しにくるようですよ。
これまではカナダのメリットについて紹介してきましたが、ここからはカナダに住むことのデメリットを紹介します。デメリットもしっかり知った上で、移住するかどうかを決めましょう。
カナダは税金が連邦消費税(GST)と州税(PST)とハーモナイズド消費税(HST)の3種類があり、州などによってどの税とどの税がかかるかは違います。しかし、多い場合は「15%程度の税金」がかかってきます。日本で暮らしていると、とても高いと感じますよね。しかし、カナダは先ほど説明した通り医療と学校の費用が無料、生活必需品には税金がかからないとなっていいます。それを考慮すれば、高いだけではないと言えます。
医療の費用が安いとうカナダですが、「専門医にかかることが難しい」というデメリットがあります。日本であれば皮膚科や耳鼻科など、最初から症状にあった専門の病院に行きますよね。しかし、カナダではまずはかかりつけ医に診察してもらい、そこで専門医への紹介状を受け取り、それから初めて症状に合った専門の病院に行くことができるのです。また、後ほど詳しく説明しますが、待ち時間もかなり長いようです。
カナダは豊かな国というイメージが強いので意外かもしれませんが、カナダは失業率が7%と、日本の3%に比べて高くなっています。また、スキルや経験をとても重視しているので、何かしら手に職をつけていないと就職は難しいかもしれません。その上、日本人がカナダで現地の人と同じように仕事をするには、言葉が完璧でないといけません。仕事をしながら上達させるというのもいいですが、最初はかなりきつい状況になるかもしれません。
カナダに住むメリットとしてカナダ人が優しいという点を挙げましたが、それに反するデメリットとして、カナダ人はかなり「運転が荒い」ということが挙げられます。急な車線変更や無理矢理な割り込み、追い越したりなどとにかく荒いのです。実際にカナダでは、交通事故も多く起きているようです。また、歩行者や自転車の信号無視も多いので、運転しているこちらが気をつけなければなりません。カナダの運転ルールを覚えるとともに、こういったことも考慮して運転しましょう。
カナダでは、「日本食が手に入りづらい」こともデメリットです。そのため、日本食が恋しくなったり、毎日の暮らしに日本食を取り入れたいと思っても、簡単に食べることはできないようです。また、日本の食べ物があったとしても、値段がかなり高いのが現状で、なかなか買えないという意見を見かけます。日本食レストランもあるようですが、そちらも値段が高くなっています。
海外に移住して生活するにあたり気になるものの一つは、物価ですよね。日本を基準に考えると、カナダの生活費用はどのくらいなのでしょうか?生活費用がわかると、カナダに移住して住む前にどれくらいのお金を準備した方が良いかがわかります。カナダに行って早々、お金に困ることがないようにしましょう。
カナダは物価が高いと思われがちですが、「生活に必要な基本的なもの」は日本より安くなっています。まずは交通費から見ていきましょう。バンクーバーで乗り物はゾーン制で3つに分けられているのですが、どんなに遠くても片道千円する事はありません。他の都市でもそれほどかからないので、日本よりカナダの方が交通費が安いです。日本では高いと話題になるガソリンも、カナダの方が安くなっています。
食べ物はどうでしょうか。いくつか比較してみましょう。お米10キロに対して日本では3000円なのに対して、カナダでは774円、トマト1キロは日本では660円ですが、カナダでは240円、牛乳1ℓは日本では198円ですが、カナダでは146円となっています。この比較からわかるように、食べ物もカナダの方が安いです。このほかにも光熱費など、基本的な暮らしにかかる費用はカナダの方が値段が低いです。
基本的な生活のかかる費用が安いと、カナダでの暮らしはお金に関しては問題ないと思うかもしれませんが、実は「贅沢品の費用が高い」というデメリットがあります。と言ってもアルコール類は日本と同じくらいか、カナダの方が少し安いくらいです。それではどんな贅沢品が高いかというと、代表的なものがタバコです。日本ではあるタバコの銘柄が20本で460円なのに対して、カナダではなんと1161円もします。
また、カナダは外食の値段も高くなっています。マクドナルドのビックマックセットは、日本では630円ですが、カナダでは773円です。タバコは吸う人にとっては生活に欠かせないものになりますので、移住しても吸い続けるのであれば、かなりタバコの費用が高くなってしまいそうですね。外食も日本であれば手軽にできますが、カナダではそうはいかなそうですね。
カナダは世界でも第2位の広さを持つ国。そんな大きな国の、どこに住むのが適しているのでしょうか?ここからは、カナダで暮らしをする場所を決めるときに参考にできる、オススメの場所をご紹介します。
カナダで移住し住むのにオススメの町1つ目は、オンタリオ州の「オタワ」です。オタワは、どこをとってもいいとこだらけです。都市であるにもかかわらず犯罪発生率も低く、いろいろな人種が特に集まっているので、日本人でも暮らしやすいでしょう。また、他のバンクーバーなどの都市に比べれば住宅価格も低いです。失業率も低いので、仕事はカナダに住むことに慣れてから探すという人にもオススメです。
続いてのカナダでの移住にオススメの町は、同じくオンタリオ州の「ウォータールー」です。ハイテク産業を中心に、金融機関、教育機関の求人が充実しています。そのため、このような職業の人にはぴったりです。失業率が高めのカナダですが、ウォータールーは低いです。また、特にアジア系の人が多く住むエリアとしても有名なので、日本人にはより暮らしやすいと思います。
3つ目のカナダでの移住にオススメの町は、同じくオンタリオ州の「サンダーベイ」です。北西部で最も大きな都市で、スペリオール湖に面している港町です。こちらも他の都市に比べて失業率が低いのが特徴です。近年特に盛んなのが、医療研究や教育分野です。移民の数は他の都市よりは少なめとなっていますが、自然も近くて暮らしやすい町です。
ここまで、カナダに移住する町として暮らしやすい場所を3つ挙げてきましたが、全てオンタリオ州の町でした。聞いたことがない町が多かったかもしれませんが、カナダの中でも有名な、ブリティッシュ・コロンビア州の「バンクーバー」は移住する町としてどうなのでしょうか?バンクーバーはやはり都心ということもあり、家賃がかなり高いようです。
それなのにもかかわらず、バンクーバーには仕事がなかなかないのだとか。バンクーバーに住んでいて高い家賃などの住む費用を払わないといけないのにもかかわらず、仕事がないというのかなり厳しいですよね。バンクーバーはやはり憧れの都市という人が多いと思いますが、バンクーバーに住むということはかなりハードルが高そうです。
ここからはいよいよ、実際にカナダに移住するときに必要になることをご紹介していきます。これらの準備をしっかりしておかないと、カナダに移住してから大変な思いをしてしまうかもしれないので、注意しましょう。
カナダに移住するために一番重要なのが、「永住権を取得すること」です。カナダに移住するための永住権のポイントが、「CLB」「NOC」 「Express Entry」の3つです。それぞれを簡単に説明すると、「CLB」は英語またはフランス語の運用能力試験の結果で、カナダに住む上での語学力があるかどうかを判断するものとなります。
「NOC」は職種ごとに割り振られた4桁のコードのことで、6種類あります。これは自分の職業を証明するものとなります。「Express Entry」は人気の永住プログラムの応募・申請者を予めオンライン上でふるいをかけるシステムのことで、このポイントが高い候補者には、移民申請の招待状が届きます。このほかにも永住権を取得するためには、自分にあったプログラムの試験を受けて、合格しなければなりません。
これに加えてカナダに移住するための永住権を得るためには、たくさんの書類やステップがあります。1人でやるとわからない箇所や抜けがあるなどのデメリットがあるので、無理せず誰かと協力してやりましょう。また、これらの手続きや申請の時点でもかなり費用がかかることが予想されるので、事前に費用についても調べておくといいでしょう。
カナダの永住権を無事取得したら、カナダで住む場所を見つけることも必要です。先ほどご紹介した、カナダでの移住場所としてオススメの町を参考にしながら見つけていきましょう。家族の仕事の関係で移住する場合は、ある程度住む場所が絞られてくると思いますが、そうでない場合は自由に決めることができますよね。だからこそ、その町のメリットもデメリットもしっかりと考慮して選ぶことが重要になってきます。
カナダは確かに他の外国に比べれば治安も良く安全な国ですが、事前に犯罪発生率なども調べておきましょう。また、バンクーバーなどではかなり高いと言われている家賃も、カナダの他の町や州なら抑えることが可能です。ほかにも物価などから生活にかかる費用などを考慮して、住む場所を決めましょう。
生活をしていくには、仕事をしていかなければいけません。夫に安定した仕事がすでに決まっている、または第2の人生をゆっくりとカナダで過ごすという人以外は、仕事を決めてからカナダに移住したほうが良いでしょう。また、カナダは失業率が高いので、安定した仕事を選ぶことをオススメします。手に職がある人は、それを生かした仕事を見つけるのがいいかもしれませんね。
カナダは寒いというのは知っている人が多いと思いますが、どのくらい寒いのか知っていますか?カナダは冬は5~6ヶ月程度あり、最も寒い1月の平均最低気温は-12.4℃です。北海道や東北以外に住んでいる人にとっては、冬はかなり辛いかもしれません。また、雪に伴う交通事故も起こしやすいです。国土の広いカナダは、都市によって気温は違いますが、どこも日本よりは寒いことには変わりはありません。
カナダは日本と違い国土が広いので、カナダのどこのエリアにいるかによって時間が違います。カナダのタイムゾーンは太平洋時間、ニューファンドランド時間、大西洋時間、東部時間、中部時間、山岳部時間のなんと6つもあります。さらに、サマータイム期間中はそれも考えた時差となります。なお、サマータイムを導入していないエリアもあるので、注意しましょう。
ちなみに、カナダのバンクーバーと日本との時差は17時間で、日本の方が進んでいます。また、カナダはサマータイムを導入しているので、その時期のカナダのバンクーバーと日本との時差は、16時間になります。
カナダ移住のデメリットの点でもお話ししましたが、カナダは病院の待ち時間がとても長いです。その原因の一つとして、カナダは医療費が無料な分、施設や器具の費用を抑えているそう。そのためカナダの病院には十分な数の器具などがなく、待ち時間がかなり長くなるそうです。最初にかかりつけ医に診てもらい、紹介状を書いてもらってから専門医にかかるという流れですが、実際に診てもらうまでは数ヶ月待つこともあるそう!
実際にカナダの人は早く診てもらうために、海外へ行く人もいるそうです。確かに待っている間に病気や症状が進行してしまうことを考えたら、怖いですよね。よく病院にかかるという人は、カナダに移住する前にこの点を考えておいた方が良さそうです。
今回はカナダへの移住を考えている人に向けて、カナダという国のメリットやデメリットなど、たくさんのことをご紹介してきました。カナダは先進国の中でも自然があり住みやすいというイメージ通りのものもあったと思いますが、そうではないこともあったのではないでしょうか?カナダに移住する前に、カナダと自分たちの問題点をしっかりと解決しておきましょう。そうすれば、カナダに移住しても充実した生活が送れるはずです!
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